怒りは行動のエネルギーを生み出しますが、過ちを犯させる危険も持っています。
大切なものを失う前に、自分でコントロールできるようになっておきましょう。
怒りをコントロールするための「あなたに最適な方略」
怒りをコントロールできない人は、怒りを鎮める「方略」を知らないことが指摘されています。
怒りを鎮める技術さえ身に付ければ、コントロールできることが増えるはずです。
そのための方略は数多く提案されています。
しかし、現時点で万能な怒りのコントロール方法は生み出されていません。いずれの方略も人によって合う、合わないがあるようです。
大切なのは「あなたに最適な方略」を発見することです。
『アンガー・モニタリング』プログラムは特定の方略ではなく、自分の怒りを理解し、怒りが鎮まるプロセスをモニタリングすることによって「あなたに最適な方略」を見つけることを目標としています。
『アンガー・モニタリング』
プログラム
怒りに対処するためにはリハーサルが大切です。怒りに直面したときに対処しようとしてもいきなり本番で実践することは難しいものです。いらだっていることを自覚できなかったり、激しい怒りで我を忘れている可能性があるからです。
一日に10分だけでいいので、静かな環境で以下のようなリハーサルを行って下さい。
- 今日、怒りを感じた出来事を振り返り、その怒りが鎮まっていくプロセスを思い出そう。
- 怒りが鎮まるプロセスで、あなたはどのような行動をとり、また考えたでしょうか。有効だった行動と思考を法則化しよう。
ただし、嫌なことを思い出すので心理的な負担があります。無理のないように行ってください。
また、自分の頭の中だけでは法則化まで行うのは難しいとお感じになった方は、LINEコミュニケーションを通じて言語化していくことをお勧めします。パーソナルサポートのご利用もご検討ください。
戦場でも使われる「バランスのとれた見方」
怒りに有効に対処する方略を、まず一つ、身につけましょう。私もいろいろと調べて試行錯誤しましたが、最も効果を感じた方法です。
これは、戦場のアメリカ軍人のために開発されました。集中力を失えば死ぬかもしれない環境で、怒りで我を失ってしまうことは致命的です。そのために、怒りなどの破滅的な感情を、効果的に鎮める即効性のある方法が開発されました。あなたも今日のリハーサルに使ってみてください。
2.最高のケース
3.最もありえそうなケース
この3つを考え、バランスを図るというものです。
(マーティン・セリグマン『ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続可能な幸福”へ』)
アメリカ軍人のケースが紹介されており、説得力がありましたので取り上げます。
設例:戦場から妻に数回電話したがつながらず、浮気の心配をしだした。
A.最悪のケースを想像
「妻が浮気をしている」
そう考えると、不安と怒りが湧いてきてしまい、目の前のミッションに集中できなくなります。
しかし、本当に浮気をしているのでしょうか、バランスをとってみましょう。
B.最高のケースを想像
「彼女は忍耐力があって強い人だ。1秒だって心が揺らぐことはないさ」
本当にその可能性もあります。気持ちが少しだけ落ち着いたところで、次に進みます。
C.最もありえそうなケースを想像
「彼女は友人と出かけているんだな。今日か明日にでもメールをくれるだろう。私が戦地にいる間、ほかのだれかを頼ることもあるだろう。嫉妬もするし頭にも来るけど、彼女だってさみしい思いをしているだろうし、怖いと思っているんだろうな」
こう思えたら、気持ちはかなり和らぎ、冷静さを取り戻せているはずです。
1~2週間、毎晩リハーサルをすると、要領が分かってくると思います。
徐々に日常生活に取り込まれて、リアルタイムで実践できるようになります。まずは静かな環境で練習してください。
怒りを感じやすい人の特徴
怒りを感じやすい人は「因果推論」に誤りがあることも指摘されています。
つまり、重要な事実を見落としていることが多く、「勘違い」「思い込み」「決めつけ」で怒っていることが往々にしてあるということです。
怒りを感じた過去の出来事を振り返ってみてください。後になって以下のようなことが分かり、「そこまで怒る必要はなかったかも・・・」と反省することはありませんか?
・相手に悪意はなかったが、そうだと違いないと思い込んでいた。
・自分の伝え方にも誤解を招く原因があったが、相手のせいだと決めつけていた。
一方的な怒りで、人を傷つけてしまう可能性を誰もが持っています。
見落としていた事実に気づき、聡明な大人になれるように『アンガー・モニタリング』プログラムに取り組んでみてください!